展示のお知らせだけと言うのも味気ないので、思っている事など。
最近、手仕事のリアリティと言う観点についてよく意識しています。
リアリティ=現実味、実感と言う意味です。
美術で言うリアリズムには写実的と言う意味があって、絵画や彫刻で言えばプロポーションが正確であるとか、描写が精細で調和がとれている作風を指したりします。
何故か印象派以降はあまり学校で習わないのですが、近代になってピカソの様に崩れたり、シュールなモチーフなどが現れます。こういう物にだって説得力、実感、正しさがあるじゃないか!と言う話になって、現実のコピーで無く、物事を抽象した物、喩えた物、変換した物に対してリアルだ。生々しい。などの形容が使われる様になったのだと思います。ただ、個人的にはもう少し、手仕事などにも幅広く適用の出来る考え方だと思っています。
リアリティ。人に実感を与え、生命の様に迫る共感。それはどうやって生まれるのか。空気や感覚の様に全く以て掴みどころのない物かとも思いますが、大まかなフレームは幾つかあると思われます。
物の持つ
1、物理的な役回り
2、意味的な役回り
物理的。道具であれば、切る、容れる、包む、守る。または鑑賞する、伝える、など。
意味的役回りとしては、それが内部に持つ印象、考え方、スタンス、示す物などです。
物理的な役回り、意味としての役回り両方が、受け手の生きる世界に即した形で提示された時、作物は受けての実感、リアリティに繋がる物として認識されます。
結局はチューニングの問題なので、桃山時代にしか必要のない機能や意味を持つ物もあるでしょうし、遠く海外のセレブにしか必要のない機能や意味を持つ物もあるでしょう。
そして、これら対象にひたと合致する適合性をリアリティを強度の問題とした時。その次には、どんな対象や世界に繋がろうとするかと言う、質の問題がある様に思います。
その質に関して、名前がついている訳ではないのですが恐らくそれは、多くの作り手やお店、ギャラリーの方は常に心に携えている物です。自分自身に関して言わせて貰えば、息の長い物が良いし、人や世界に優しい物、穏やかでシンプルな物が良い。
作る事に携わる人は、その視座をしっかりと固める為に色々考えなくてはならないし、作物をそのリアリティに近づけて行く為、弛まぬ努力と訓練をするのだと思います。
とは言っても、何の説明や知識も全く無く、多くを伝えるのはとても難しい事です。
お店の方なども、ぶれる事のない精確な感覚、隅々まで満ちる集中力を駆使して、仕事や関係を作り続けてくれている様に思います。
楽しみにしている展示が、幾つかあります。
「きれいに暮らす-春の道具展-」
■手しごとの器・道具 テノナル工藝百職
2014/2/20(木)-3/9(日)11:00-18:00
※3/1(土)、2(日)の営業時間は13:00-18:00となります
※3/9(日)の営業時間は11:00-17:00となります
◎企画展準備のため2/17(月)-19(水)がお休み、片づけのため3/10(月)がお休みとなります
◎企画展期間中のお休みは2/26(水)、3/5(水)、3/8(土)です
「安齋 新・厚子 陶磁 | 勢司恵美 竹 | 吉田慎司 箒 作品展」
■ヒナタノオト
3/1(土)〜12(水)12:00〜19:00(土日祝 18:00まで)
木曜休み・最終日16:00まで
よろしくお願い致します。