展示のお知らせ と思うこと

 皆さま、お元気にお過ごしでしょうか。
展示会の中止や延期など、苦労されている方も多いと思うのですが、こちらはおかげさまで、変わらず忙しくさせて戴いていました。
 芸術・美術・工芸は不要不急とされてしまうのではありますが、人が人らしく、豊かにあるための必需品だとは思います。
これまで、多くの非常時に手仕事はどうあるべきか。何をするべきか、しないべきか、問われる機会がありましたが、やはり為すべきことは変わらない様に思います。

 箒は(その他の工芸品も勿論ですが)多くの語られ方をされてきました。
環境に配慮した商品として。地域に根付いた、伝統的な手仕事として。現在の暮らしに寄り添う道具として。昔ながらの生活様式や思想を継承するものとして。
どれも間違いではありませんし、特にこういうご時世には、人類が古代から戦ってきた公衆衛生やそのための慣習、信仰などの語り方もできるように思います。(掃除は仏教でも重要な位置づけにありますし、葬儀の中で多く使われてきた歴史は、払う、清めるという精神的な意味と同時に、感染症や衛生という言葉が生まれる前から実利を伴った慣習だったのだと思います。)でも、それだけとりあげるのは違う気がする。

 営業的には、「~を解決するのための箒!」と、分かりやすく切り取って紹介する方が訴求力があるのは確かですが、これらを文化として捉えたときに、切り取る事はその他を切り落とすこと。物事を矮小化する事と思っています。ここは敢えて、美術工芸全般、豊かな世界への道しるべとして、できるだけ風呂敷を広げて携わりたいと思っています。
 
 これまでずっと考えてきたこと、いま考えていることは、

思いを巡らすこと。
向こう側に触れること。

大きなシステムや、多くの労働力を利用しなくても、美しいものは近くにある。どこで、誰が、どのように、どのような思いで作り、作られていくのか。かつては当たり前だった事が取り戻せれば、不必要な誹謗中傷や、悲しい不均衡、すれ違いは起こらないようにも思っています。幸せな世の中に近づくと信じています。(柳宗悦も、社会の構造の話は散々してたけどね)

土地土地の培ってきた慣習や歴史や背景が、自然な生き方、在り方を教えてくれる。環境、流通、消費、生活様式など、道具の向こうにあるものに気持ちを寄せ、鑑賞や感性に耐える力のある工芸は、道具がどこから来て、どのように使われ、どう進んでいくべきかを考えさせてくれるように思います。

まだまだ自粛がちのイベントで、大手を振っておいでください!とは言えないような状況もありますが・・・ウェブショップもありますし、そもそも多く作れるものでもないので、気軽な気持ちで、無理なく、手に取って戴ける方にご来場戴ければ嬉しいです。
必要とされる方に届いてくれると信じて。

「器と工藝 コハルアン」
https://www.room-j.jp/
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『美しい初夏の私』
2020年6月18日(木)~7月3日(金) *最終日は17:00まで
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■ 出品作家
□ 仕草 佐渡勝行(染色 手ぬぐいと布小物)
□ 吉田慎司(中津箒 小帚)
□ 大内学(ガラス)
□ 川合孝知(九谷色絵 小皿 : 6/20より展示)
□ 矢口桂司(陶 豆皿)
□ 長戸製陶所(砥部焼 そば猪口等)
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会期中はソーシャルディスタンスを保つため、店内滞在人数を五名以内とさせていただきます。
時間帯によっては、ご入店をお待ちいただく可能性がありますことをご了承くださいませ。
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※7月4日-12日、石神井公園でも展示会予定です。(詳細まもなくUPします!)