表現の前に歌謡であるように-最近思っていることと告知

大学の卒制のタイトルが記録と娯楽だったんですが、作るものの要素については、ずっと執着しています。しばらく、言語か娯楽かという対立で考えて考えていたのですが、最近は歌謡であるという事で自分の中では決着している。というか意識している。

テレビなんかで出てくる、~アート、なんていう奇抜なものや、綺麗なだけのものが昔から嫌いでした。芸術は表現であり、哲学であって思想であって、面白いだけだと娯楽やエンターテイメントと境がなくて、娯楽と堕落は一文字違いだ。と思っていた。美術や芸術は世界をより向上させたり、解決したりするもであって、ただの快楽ではない。と、いまでも思っている。

でも、ただ伝えたいからといって表現が純然たるメッセージになると、造形的な美しさや感動っていうものはただの尾ひれになってしまった。伝わればいいだけなのに、何で綺麗に作らないといけないの?っていう話になってくる。(そのせいで、子どものころから今まで、字を綺麗に書いた事がない。ただの記号なんだから、線が短かろうが歪んでいようが、判別できるレベル以上に意味がないと思っていたから。まぁ今もそれなりにそう思っている。)

ですが、実際の前線に、どちらかに偏っている人は殆どいないと言って良い。必ずと言っていいほど造形的に洗練されたものに、思想を託している。勿論、文字ならフォントや文字組み、話し言葉なら身振りや抑揚で言葉の伝わり方は変わるのだから、言葉の意味と表層の洗練は連結しているのは当然。だけれど、それ以上に人は造形的な美しさに心を砕いている気がしていた。綺麗に作ると、道具は物理的な強度があがる事は勿論だけれど、それだけじゃない。寧ろ、造形美を求めて行って、精神が鍛えられて、その言葉が天に通ずる。ような状況も多々ある様に思う。要は、自分の中で、表現なのか快楽なのかって対立で考えていて、対立していた。

よく、作物に対して「表現」といってしまうのだけれど、それは20世紀後半にコンセプトという言い方が浸透してからの考え方に自分が偏っていたからだと痛感しています。そこが原因だった。いまは、本当は、「歌謡」なんじゃないかと思っている。これは短歌から学んだことなんだけれど、何を歌うか、どう歌うか。というのは基本的な問題で。真摯で、切実な問題を詠っていても、技術的な完成度が高くないといけない。その逆も然り。そこに異議を唱える人なんかいない。その理由は、短歌は歌謡が元にあるからだと、個人的には解釈しています。勿論、ここでいう歌謡は、歌謡曲の歌謡ではなくて、古代から、祭りや儀礼で歌われてきた、歌謡の事です。

なにを持って歌謡か、どこまでが歌謡か、などは取りこぼしそうなので構造はあまり語りたくない。歌謡は、祈りや、伝承や、知恵や、喜びなど、あらゆるものを、魂として本人の肉体から生々しく発する事だと思っています。言葉であるから、意味がないといけないし、歌であるから、美しく発していないと成立しない。
でもちょっと、まだ理解が浅いだろうとも思っている。勉強します。

最近は、ものを見たり考えていくときに、良い歌かどうか。と、先に唱えるようにしています。

余談ですが、子どもに絵本を読む機会が多くて触れるせいか、絵本いいなぁ、と最近思っています。良い本は、詩みたいに言葉が練られていて、短い本ほど、とてもよくリズムを整えてある。これも歌謡だと思いました。向日性の文学、といいますが、世の中を明るいと思う事は、大人になるほどなかなか容易に出来ない。短い絵本は、オチや転結じゃなくて、目の前の出来事や存在そのものを愛でる仕組みでしかなくて、個人的にも、作品の形として理想的だなと思っています。

あと最近ヒップホップばかり聞いてますね・・・。なんか、カフェミュージックでも聞いてなきゃいけないんじゃないかという外圧を勝手に感じていたんですが(笑)国内外問わず、市民や、ストリートカルチャーに関心が高いという事で、個人的に解決しました。学生の頃、秋葉原とかおたくについて調べてて(いまも結構チェックしてますけど)同人活動とか、市井の動きに興味があるみたいです。ファッションなんかも、やらないけど流行りをみるのは好きですね。
下駄はいてると、結構つっこんでもらってるけど、ジャパニーズのみんな、なんで洋服着てるんだ。って割とほんとに思ってる。自問自答している。

 

■今後のイベント
夏は、ワークショップ多めです。みんな宿題に使ってやってください。
今のうち!と、せっせと注文こなしてます。
ちょっと面白い仕事もあるんですが、まだ公開前なので追々。

・Late summer 五人の手仕事
日程: 9月5日(月)~15日(木)
時間 平日 11:00~21:00
日祝 11:00~20:00
場所:mAAch ecute 神田万世橋「佇マイ」

 

府中市郷土の森博物館 実演・ワークショップ
日程:8月21日(日)
時間:10:00~15:00
場所:ふるさと体験館※郷土の森博物館入館料200円がかかります。

・もえぎ家 豆ほうきワークショップ
日程:8月27日(日)
時間:10時~、11時~、13時~ 各回5名まで。
場所:もえぎ家

・ワークショップ「禅 と 中津箒づくり ~ 日々の暮らしの中にある「美しさ」について考える ~」
日程:8月17日(水)
時間:13:30~
場所:d-labo 二子玉川

よろしくお願い致します!