2021/10/6

2021/10/6
「手入れと手仕事」

小樽に越してきて、やっと半年ほど。仕事もしながら、すっかりほっておかれていた庭や家屋に手を入れています。

「手入れ」を検索してみると
「手入れ」(デジタル大辞泉より)
1 よい状態を保つために、整備・補修などをすること。「手入れが行き届く」「よく手入れされた庭木」

2 捜査や検挙のために、現場や犯人の居所に踏み込むこと。「密売の現場を手入れする」

どちらもしっくりくる。

庭は、写真の真ん中の木まで、腰以上の笹が生え放題でした。こんなんどうにかなるの…?とも思っていましたが、コツコツ切ると向こうも生き物。後退して、カキドオシなど、違う草がぐんぐんと増えて来ました。
少し手強い場所は、同じ地下茎で増えるドクダミと、1年も経たずに入れ替わりました。

広い敷地には色んな場所があって、一番厄介なのが、雑草を駆逐しようとして砂利を撒いたところだったりする。土の上に広がるクローバーなんかはグラウンドカバーにもなり、草刈り機でいつでも整備できるのですが、砂利の上には低い草が生えず、土が痩せ、根の太くて深い地下茎の植物(しかも背が高い)だけが生えてきて、手がつけられない植生になっている。自然に近い形で、少しずつ関係を変えていくのが理想なのだと思います。

何でも、全部押さえ込もうとすると揺り戻しが大きい。こちらにもある程度都合がよいよいに、植生の中に手を入れて、循環や草同士の植生をシフトしていく感覚。
相手の土壌に勝手に踏み込むのだから、辞書の2番の乱暴さも少し合点が行きます。

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手仕事にも、同じような関係を感じる。
ブルドーザーで全部さらって、一気に入れ変えてしまうのがプロダクトだとしたら、コツコツ関係を変えていくような仕事をできたらと思う。

工芸界隈には、何かを残そう。伝えていこう。変えていこう。という大志を抱く人も少なくないのですが、そうそうすぐに世の中が変わるなんて事はなくて、苦労する事も多い。すぐに結果を求める事は大変ですが、日々の仕事が、ものづくりに、在り方に、手を入れているのだと思います。
それこそ晴れを祈るように、コツコツ手を動かしていけば、だんだんと景色も変わっていくはず。
あれだけ盛大だった笹も、思ったより早く入れ替わるものだから、すごく励みになりました。(とはいえ、クルミを収穫しながら刈った場所の笹をどかしたら、すっかり丸坊主になってしまった…急に変えてしまって少し不安ながら、来年、どんな植物が育ってくるか楽しみです。)

やっと展示のご紹介。ウンガプラスさんは、地元の仕事や歴史と繋がる仕事を多く紹介しています。
初めての小樽での展示会。こちらも場所と関係しながら、コツコツとやっていけたらと思っています。

「永く愛せる道具と暮らし 」
~中津箒・久留米絣~

10/15(金)-24(日) 10days
11:00-18:00