ロラン・バルト モード論集

ロランバルトが、モードについて論じた本です。シニフィアン(表示)、シニフィエ(内容)という様な考え方を基準に、モードを考察しています。

舞台衣装の項などでは、「衣装のモラルの基礎となるのは、いかなる場合もその劇作品の社会的身ぶりを明示することである。(略)この機能は、衣装の造形性やそれがかもしだす情緒といったものより、むしろ知的次元にかかわるものだ」「衣装の役割は眼を誘惑することではなく、納得させることなのだ。」などど、見た目の華やかさや面白さで満足する事なく、それらの意味する内容を重視した主張をしています。
(また、それらのルールや効果を調査し、体系的に考察すべきだという事を全編通して述べています。)

「モードとは、ある新作の集団的模倣である」「意味するものと意味されるものとの間の類比関係をすっかり失ってしまっている」「衣服の記号学は語彙論的なものではなく、統治論的なものだということであろう。」「モード雑誌は神話的使命によって、もろもろの記号を不動の本質として差し出す傾向がある」「衣服はつねに記号の一般的体系として構築されるとしても、このシステムの意味作用は安定していないということです。」

など、実物と、流布されているものに関連が無く、常に形を変える捉えようのないものという印象ばかりですが、その規則をとらえるぎりぎりの所まで攻めている感じはあります。

大切だと思うのは、これにより流行とは何なのかを曇りなく掴む事ではなく、仕事にしろ趣味にしろ、もれなく我々は流行の影響を受けていて、それは誰かの作為であったりもするし、掴めてもそれは日々流転するもので、常に誘惑に溢れているという事です。

流行を追いかけるだけで必死になる事もあるかも知れないけれど、それらを一つの時代

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