-読書感想-精神分析の四基本概念

ジャックラカンの講義を記録した、代表的な本です。
ラカンは講義録が多く、あまり本は残していない様です。

 

フロイトの「無意識」「反復」「転移」「欲動」を発展させ、幅広い内容に言及しています。
生徒を啓蒙する為か、何だかも回りくどい様な言い回しも多くある本ですが、大変な密度と精確さが詰まっており、
とても興味深い本です。

どの理論の中でも、主体は他者(または物)を通して確認されると言う事が基本になっています。
欲望や意志は、他者に反射され、帰ってくる際に形となる。

また、シニフィアン(表象内容)・シニフィエ(意味内容)と言う考え方も重要です。
「私は嘘をつく」と言った時、これは嘘をつくと予め言っているので発言は矛盾すると言えるかも知れませんが、
「嘘をつく」と言う「私」は表象であるだけで、内容と表象は分離する別々の物だと言う事です。

色んな物が、「他者」との関連で説明されます。欲望は他者の欲望であるなどとも言いますが、それは、
周囲の様々な物で主体が現れる中で、欲望が発生すると言う意味(だと思われます)

 

などなど、元々は読む本のなかにしばしばラカンが出てくるもので、参考に読んでみたのですが考える事もたくさんありました。
物を作って、伝えるとか表現とか何たら言っていると、自分が発して人を納得させる様な方向が強くなりますが、物を見ると言う事はその物に見られていると言う事で、そこに初めて自分の視線が確立される。
時代や空気に敏感である事は大事ですが、そもそも自分の考える事や発すること自体が他者からの視線を通して作られている。

大きく束にしてしまえば、伝わった。と思える様な反応が(表象の方が良いでしょうか)向かいから返って来た時、初めて自分が言葉を
発した事になる。(対象がなければ、それがやまびこや反響だとしても何も無いと形にはならないですものね)

より謙虚に、対外的な関係には自覚的でありたいと思いました。

 

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